【スポーツインフォメーション堺 Vol.11】
●特集/堺で広がり始めた『よさこいソーラン』
「お母さんたち、練習で自分たちだけのものにせず、子供さんにも伝えてね。お母さんたちが笑えば、子供の健全育成につながるのですよ。」

泉北ニュータウンに元気に踊る人がいる、ということで、その踊り「よさこいソーラン」を堺に取り込んだ人物、堺泉が丘ロータリークラブ坂井祥博さんにお聞きしました。

泉北で広まった経緯について
そもそも、4年前、子供たちの『荒れ』『非行』や大人社会の横のつながりの希薄さなどが問題化しており、『17才問題』が、マスコミをにぎわしていた。ロータリークラブの取り組みとして、子供たちの健全育成に何かいい取り組みがないかと思っていたところ、たまたま北海道で見た「よさこいソーラン」にすごいエネルギーを感じた。「これや!」と思い情報を集め企画を練り、すぐに、坂井泉が丘ロータリークラブに提案を出したのです。泉北ロータリークラブにも賛同を得て共同事業で、3年間の継続事業になりました。
ロータリークラブとして、南地区の連合自治会の方、PTAの方を対象に呼びかけ、「街は舞台だ、泉北が変わろう」をスローガンに、青少年の問題についてパネルディスカッションを文化会館で行った。その時、よさこいソーランについて取り組んでいる貝塚市の中学校の生徒さんを招待して、踊っていただいた。また、北海道でのよさこいソーラン祭りを作った長谷川岳氏に創設していくまでの苦労、青少年の変わり方等体験を通して講演していただいた。大勢の方々の理解が得られ、さっそく何人かの方々から「やりたい!」との声が上がりました。
こうして、南地区の各自治会からの支援、協力をいただいて、泉北すきやねんチームが生まれ育っていったんですね。今では、19校区全域まで広がっています。

冒頭の言葉(タイトル下)は、よさこいソーランの練習時の岡所加代子さん(ボランティアスポーツ指導者)の言葉です。
「ロータリークラブから、地域の中で、よさこいソーランの指導をお願いできませんかというお話があった。健全育成という立場から晴美台、三原台、福泉等連合町会長さんなど地域の協力、学校の協力を得て、よさこいソーランの指導を始めました。できる人に声をかけたり地域の祭りを回ったりしているうちに口コミで広がっていきました。やがて、練習参加者の中からリーダーが育ち、実行委員会を作ろう、ハッピも作ろう、と自主的に活動しているグループも出だし、今に至っています。地元に持ちかえり自立できるチームがさらに育っていくといいのですが。」と岡所さんは、語ってくれました。

よさこいソーランの良さとは
成功する祭り、岸和田のだんじり、青森のねぶた、徳島の阿波踊りにしろ世代間をつなぐ要素をもっている。つまりよさこいには、生徒と先生、先生と地域、地域と学校をつないでいける要素があるということです。
また、よさこいソーランは、理解しやすいし、応援しやすい。すぐ学べるし難しいものが何もない。音と振り付けと一緒になって踊る単純な要素が連帯感を生む。そこには、人間のもって生まれた本能的な楽しみ、喜びが感じられるんです。だから、賛同が得られ地域の中に広がっているんですね。

泉北地域の変化について
よさこいを始めるまでは、19自治会が夏祭りを独自でやっていました。ところが、泉北すきやねんチームができた縁で、応援、友情出演という関係ができてイベントが盛り上がりにぎやかになりました。今では、よさこいソーランが夏祭りの定番となっている。前、あそこ来てくれたから、今度行くわという関係が校区間にできて、交流が生まれています。また、いっぺん見に行くわ、と新たなPRになるんです。
また、商店連合から依頼が来たり、老人ホームへの慰問活動など地域の活性化につながっていますね。

今後の展開について
ライフワークとして、よさこいソーランを広めていきたいです。堺の人々によさこいソーランの良さを伝えていきたい意向を持っています。泉北すきやねんチームから指導者を派遣するなどの協力、支援をしていきたいと考えています。
また、堺市全域、近隣の市町村のよさこいソーランチームをハーベストの丘に集めて、南地区の新しい文化創造をめざし、自立した「泉北よさこいソーラン祭り」を立ち上げたいです。
こんな夢を持っています。と坂井さんは熱く語ってくれました。

堺まつりパレードで踊りを披露する泉北すきやねんチーム
足の膝下まである紺と赤の見事なハッピ、背中には「すきやねん」の文字が度肝を抜きます。

南地区ふれあいまつり
今年第5回目となる『南地区ふれあいまつり』において、一昨年の第3回目より、泉北すきやねんチームによる泉北よさこい祭りが大盛況となっている。

『泉北よさこい祭り』とは
高知市で毎年8月始めに行われるよさこい祭りがルーツ。老若男女を問わず、職場で、学校で、地域で、商店街で、サークルで思い思いの振り付けとリズムで、鳴子(※)を両手のよさこい節(編曲自由)にあわせて踊り続けるという、元気印の祭り。その自由さに感動した北海道の若者たちが、自分たちの祭りをと北海道で始め、雪祭りと並ぶイベントになったよさこいソーラン祭りが、全国に広がり、鳴子を使うことだけを共通項に地元の色で味付けをした自分たちで作り上げる祭りとして大ブレイク。
※鳴子:
踊り子たちがみんな手に持っている、シャンシャン鳴るもの。もともとは、田端の鳥よけとして使用されていたもので、3本の拍子木(動く小さな木の部分)と羽子板を小さくしたような台からなる。チームのテーマや衣装に合わせてオリジナルのものを作るチームが多い。

よさこいソーランレポート
泉北すきやねんチーム
午後7時過ぎ、堺市美木多中学校体育館いっぱいに人々が広がります。練習とはいえ、鳴子の高鳴る響き、汗をかきつつ、老いも若きも、どの表情も真剣です。「発散でき、ストレス解消。明日への力が沸いてきそう。」「踊りを通して、旧村とニュータウンの交流ができる。」「踊りをきっかけにして、年上の方からいろいろなことを教えていただける。」とは、参加者の声。
・泉北すきやねんチームの会長吉田睦子さんのお話
踊りを通して大人同士のいざこざをせず仲良くなれば、子供に何か伝わるのではないかと思います。青少年健全育成、地域の交流のため、もっと発展してほしいです。

三原台中学校のよさこいソーラン
堺市三原台中学校では、毎年3年生の女子が『MIHARAソーラン』を体育大会団体演技として取り組んでいます。長いハッピと手には鳴子。音楽に合わせて子供たちが、運動場に広がりエネルギッシュに踊ります。練習が、しんどかったり、筋肉痛になったり、と苦労があったようです。みんなが、心一つになることのむずかしさを乗り越えて、どの子も精一杯頑張って、見事な演技を披露しました。

八下西のびのびルーム
青いハッピに赤いはちまき。総勢42名の小学生たち。鳴子を持ってラジカセのリズムを待っている。音楽が聞こえてくるや否や、軽快にみんなが踊りだす。昨年練習したが、ブランクは、大きい。
「次、本番するよ。」と先生の声。もうそこには、緊張感に負けている子供はいない。軽やかに、のびのびと子供たちは、気持ちを一つのよさこいソーランを披露した。
保護者の方も、「去年より広々できて、よかった。」「たくさんの友達が一つになって、感動した。」「1年生から6年生まで上手に踊って感動した。」「心一つになっていて感動した。」と感想を述べてくれました。
<参加した子どもたちの声>
○みやもとゆうや(2年)
よさこいソーランは楽しかったです。僕は、先生にほめられました。ほめられたところは、どっこいしょ!どっこいしょ!のところとソーランソーランのところです。がんばったところは、全部です。
○ほしもとなつみ(2年)
4回踊りました。ちょっと、疲れたけど楽しかったです。また、よさこいソーランあるのかな?あったらいいのにな、また、練習して、もっと上手になりたいな。
○とだのりかず(3年)
昨日、よさこいソーランをしました。汗も出ました。でも練習したかいはあった。練習2回、本番2回、すごく疲れました。
  
一生懸命さが伝わってきて本当によかったです。お疲れ様でした。みんなの踊りをひっぱってくれたひとみちゃんとまーちゃんそして子どもたち42名。感動ありがとうございました。