【スポーツインフォメーション堺 Vol.13】
●特集/健康をステップアップするために
健康であることは、一番の宝です。人の健康は、運動と栄養・休養のバランスによって成立しています。適度な運動と栄養・休養が明日への活力を生みだしてくれるのです。
そこで「私は、どんな運動をしたらいいの?」「私の食生活はこれでいいのかしら?」と、お悩みの方にきっとお役に立ちます。

金岡公園体育館で行われている健康相談講座の総合コースを訪ねてみました。このプログラムは、これから運動を始めようとする人や自分の体力を知りたい20歳以上の人を対象としています。一人ひとりの栄養状態・健康状態のチェックと体力測定から、コンピュータによる分析データをもとにスポーツドクターを中心とした専門家がさまざまな相談や処方を行います。

少ない人数で、ゆったりと
この日の予約申し込みは、市内に住む44歳の女性一人。1日の定員は4人まで。まず最初に、保健士の村上さんとの面接による健康相談が行われました。さらに、管理栄養士の田原さんからチェックシートを使って、日常生活での食習慣などについての問診を受けます。
次に、コンピュータ診断のための入力カードを作成してもらいます。一番はじめは、看護士の龍野さんによる心電図測定。次に、検尿、血圧測定のあと形態測定。さらに、柔軟性、敏捷性、瞬発力、筋力、筋持久力、平衡性などの体力測定がつづきます。

見ているだけではもったいない!飛び入り参加
最初は、取材だけを予定していた私も、自分自身で受けたくなり測定をすることに。ここでの体力測定は、最初に作ってもらったカードを自分で各測定器に差し込み、はじめます。各測定器はオンラインで結ばれておりコンピュータに自動記録されていきます。しかも、各測定器には、指導員の田中さん、綿田さんの2人が交代で付き添い、使い方を丁寧に教えてくれ、不安や難しさを感じることはありませんでした。
日頃、まったくと言っていい程運動をしていない、身体が硬い私にとって、床に足を伸ばして座り、どれだけ前に上半身をかがめられるかの柔軟性の測定では、お腹の筋肉が途中でつってしまい、2回の測定を1回だけに。敏捷性や筋力測定では、年齢の平均値を越える予想外の値が出ました。

機械は見抜く!日頃の運動不足
次は、自転車エルゴメータ(自転車のような測定器)を使って、ゆっくりと時間をかけ多量の酸素を取り入れる有酸素運動による心肺持久力の測定。10分間ペダルこぎ、途中で2回負荷が上がっていきました。自分ではあまり息が上がらないよう酸素を十分取り入れながらできたつもりが、診断結果は正直に日頃の運動不足をしっかり見抜き、スタミナ不足と判定されてしまいました。
この測定から、今の私にあった運動強度は、脈拍数を目安に112拍/分と算出され、これを目標脈拍数として、軽い運動から始めて徐々に強度を上げていくようデータに出ました。

スポーツドクターや保健師さんからのアドバイス
すべての測定が終わると同時に、すぐその場でコンピュータから診断表が出力されてきました。最後に、診断結果を基に、保健師の村上さん、医師の賀來先生からアドバイスを受けます。
この日、参加された女性は、今回の講座を受けて「普段は、自己判断をすることが多いが、自分の体調をこの様に具体的に数値にだしてもらうことで、どんな運動をどれだけすればいいかを知ることができた。毎日の仕事で動いていたつもりが、そのことと、今、自分にとって必要な運動とは違うものであることを知った。今後、自分にあった運動メニューを作ってもらい、トレーニングをしたい。」と話されていました。

まず、今の自分の状態を知ることから
「食事や栄養は、気にしているけれどどうしたらいいかわからない人や、自分に合っているかどうかはわからず、とりあえず誰かに聞いてやってみる人が多い。本当に自分にあった食事をして欲しい。」と栄養士の田原さん。このことは、運動にも当てはまりそうです。まず、今の自分の状態を知ることかがはじめることが大切です。
今回の測定で、自分にあった運動強度を具体的な数値で初めて知ることができ、これは大きな収穫と思いました。

運動を続けるきっかけ作りに!
医師の賀來先生は、「ここに来る人は、ごく一部。もっと多くの人に知ってもらい、来ていただきたい。」
この総合コースを受講すると、3年間有効の受講者証が発行されます。有効期限内で、週1回コースのトータルフィットネス、ウォーキングエクササイズ、マシントレーニングの各運動講座に参加できます。(ただしこの運動講座は、参加費1種目1回200円の有料。)この「健康で楽しい生活や病気の予防」にもつながるドクター対応の2時間程度のプログラムが2,500円!。毎週火・金曜日の午後1時から。電話か来館での予約制。他に健康相談(基本コース:400円)や栄養相談(健康相談コース:400円)もあります。

運動プログラムを行う時のポイント
①運動を始める前には必ず体調のチェックを行い、異常を感じたとき、疲労の激しい時は控えましょう
②運動は週3回、少なくとも週2回はしましょう(週1回では50%、2週間に1回ではほとんど効果はありません)
③1日の運動時間は15~60分が適当です
④運動の強さは、強すぎても弱すぎてもいけません

自分にあった強度で、徐々にレベルアップをしましょう

次に、鴨谷体育館での「ヘルスアップ講座」を紹介します。このプログラムは、南保健センターと鴨谷体育館が共同で「生涯を通して、健康で明るい生活を営む」ために大切な時期である中高年の年代の方々を対象に実施しています。生活習慣病の予防・改善、運動習慣作りのお手伝いをしたいと昨年度から始まりました。

夫婦やグループでの参加もできる
取材した日の講座への参加者は、20人。そのうち、50歳代の方が9名、60歳代の方が7名。まず、受付で問診票に記入が終わると南保健センターの保健師の下村さん、栄養士の小島さん、鴨谷体育館の保健師の守屋さんらにより、身長・体重などの形態測定、体脂肪・血圧測定などを受けます。それが終わると、運動シューズに履き替えて第2体育館へ移動。中では、全員が揃うまでの待ち時間にも、体育実技指導員の櫻本さんが、早く来た人が退屈しないようにとボールを使った軽いゲーム形式の運動指導をはじめています。このプログラムに対するスタッフの積極的な意気込みが伝わってきました。

リラックスして体をほぐす
開講式で、藤原体育館長から挨拶があり、講座の目的等が説明されました。次に、体育館職員の柏木さんによる準備体操。にこやかに、ゆっくりとした説明で、時には冗談も交えながら、リラックスして徐々に体をほぐしていきます。参加者の年齢が比較的高いことや、日頃運動されていない方も多いと予想されることも考慮されているようです。

楽しく体力テスト
体力テストでは、壮年者(40~64歳以下)の実施種目は、反復横跳び、反応棒、立ち幅跳び、上体起こし、閉眼片足立ち、握力、長座位前屈の7種目で、シニア(65歳以上)は開眼片脚立ち、握力、反応棒、握力の4種目となります。広い体育館の中で、最初は全員でできる種目からはじめ、後半は2人でペアを組んだり、グループに分かれたりして楽しく測定をこなしていきます。約1時間程で全員が終了できました。

毎回テーマが違う運動指導
次に運動指導。今回のテーマは「家の中にあるもので手軽にできるトレーニング」。体育実技指導員の櫻本さん、平田さんがイスなど利用して、ストレッチなどを実演しながら指導していきます。
この講座は年4回企画されていますが、運動指導の内容は毎回テーマが変わります。連続して参加しても飽きないよう工夫されています。また、これをきっかけに毎日の運動を続け、測定結果や評価の変化を楽しみの一つにもできるのではと思いました。

栄養士さんからのアドバイス
その後、全体指導として栄養士の小島さんから、健康づくりのために
・運動と食事の重要性
・毎日続けることの大切さ
・和食の勧め
・間食はしないで、お腹をすかしてから食べる
・ゆっくりよく噛んで食べる
・少し食事を変えることで病気の予防ができる
などのアドバイスがありました。

個別相談・指導も充実
これらの運動指導や栄養指導が行われている間に、体力測定のデータは、コンピュータに入力され診断結果が各個人カードになって出ています。その結果の見方について全体説明があります。同時にこの講座の30ページにも及ぶテキスト「ヘルスアップ講座」も渡され、このテキストを中心になって作成した体育館の職員中辻さんは、「このテキストだけでも今日の参加料の400円の値打ちはありますよ。」と話されていました。
そして最後に、研修室でおよそ30分間、保健・栄養・運動指導が個別に実施されました。終了は、12時を過ぎており全体で約3時間の講座でした。

参加者の感想
参加者のアンケートによると、運動指導(実技指導)に関しては、20人中16人が「非常によかった。」と答えています。また、全体について「参加してよかった。また次回の10月に来ます。」「気持ちのいい汗をかいてよかった。これからも運動を続けていきたい。」「体脂肪が多いので気になっています。スポーツ教室をやっていることも知りませんでした。ぜひ、参加したい。」「いろいろアドバイスしていただき参考になった。」などの声を聞くことができました。

この講座は、今年度あと10月20日(日)と2月9日(日)(午前9時20分~12時)に実施され、それぞれの運動指導のテーマは、『肩こり・腰痛予防』『ソフトエアロビクスを体験しようです。