【スポーツインフォメーション堺 Vol.13】
●スポットライト
マリン モア チアリーダーズ 
-2つのウェイブ 地域ボランティアと学校週5日制-

良い…29%、そうは思わない59%、その他・答えない12%。これは先日、朝日新聞が行った『学校週5日制が子ども達にとって良いことだと思いますか』という質問に対してのアンケート結果である。

「はーい。おはようございまーす。」小学校の体育館に元気な声が響き渡る。子ども7人と大人12人が組みになって柔軟体操が始まった。つづいて本格的なチアリーディングの練習が二組にわかれて始まる。まず、大人たちがやって見せてそれに子ども達が続く。大人の演技を食い入るように見ている顔は真剣そのもの。お姉さんたちにサポートされて子ども達が一人ずつトライしていく。パッとポーズが決まると「ハイ上手にできました。」「やったね。」と大人たちが誉めて盛り上げる。またまわりの子ども達からも自然と拍手が沸き起こる。『マリン モア チアリーダーズ(以下マリンモア)』のメンバーと向丘小学校の『子どもクラブ』の子どもたちである。
マリンモアの活動は93年からスタートした。代表の猪尾幾代さんが当時近畿大学吹奏楽部のチアリーダーとして活躍していて、梅花高校・バトン部の指導に行った時に現在の中心メンバーである川崎千晴さんと出会ったことから始まる。チアリーディングに魅せられた川崎さんが高校卒業後も活動したいと猪尾さんに相談しマリンモアが結成された。以後、堺祭りのオープニングや御堂筋パレードの常連として出場し、一時はバレーボールVリーグの日新製鋼チアリーディングのプロとしても活躍したグループ。現在は、堺ブレイザーズの私設チアリーディングも行っている。そんな彼女達が今、小学校の子どもたちに本格的なチアリーディングを指導している。
向丘小学校の『子どもクラブ』は、今年からスタートした学校週5日制を利用して4年生以上の子どもたちを対象にして、土曜日のゆとりの時間を有意義に過ごすために設けられた。校区住民のボランティアを募って地域との連携を深め、学年の壁を越えて子どもたち同士の交流を深めようとする取り組みで、チアリーディングの他に、サッカー、ゲートボール、茶道、木綿織物・染め物のクラブが現在活動中。
『以前から子どもたちに、チアリーディングを教えたいなぁと思っていたところに、昨年、向丘小学校の「友遊タイム」(5・6年生対象のボランティアによる13講座)で初めて子どもたちを教える機会をもらい、ぜひやってみようということになりました。都合6回実施して私たち自身がすごく楽しくできたこと。また、その時もらった感想文がとてもうれしかったので今年の『子どもクラブ』への参加はメンバーの中でもすんなり決まりました。』『それと、いままで練習場所が一定せず、今年から体育館の予約もなかなか希望通り取れなくなったので、練習場所の確保という意味でもとても助かっています。』と川崎さんは笑顔で語ってくれました。『今はこちらの都合で月1回の時間だけですが、月1回だと忘れることも多いのでできれば月2回にしたいですね。』『楽しむことと、スポーツを通じて生涯の仲間作りをすることをモットーとしているので、もっと多くの子どもたちに参加して欲しいと思っています。できれば、お母さんたちにも参加してもらって一緒に楽しめたらって。』確かに今は教える方の人数が多くてすごく丁寧な指導ができているクラブだ。参加した子どもたちからは『楽しかった。すごく久しぶりで楽しみにしていた。』『先生がいっぱいいて、わかりやすく教えてくれた。楽しかった。』と次の機会が待ち遠しい様子だった。
たまたま来ていた坂口さんのお母さんに話をお伺いすることができた。『運動嫌いだった子が、自分からやってみたいと申し込んだので。本人も思っていたより本格的だったので余計に興味が出たみたいですよ。とても雰囲気が明るくて、誉めて子どもたちを指導しているのがいいですね。』『できれば、続けていって欲しいです。』とても信頼を寄せているコメントだった。こういう活動がもっと認められ、子どもたちの参加人数が増えれば、冒頭のアンケートの数字は逆転するに違いない。
地域密着型総合スポーツクラブの構想が言われはじめて久しい。その時にいつも問題になるのが、施設費用と運営費。でも、この子どもクラブの取り組みは、小学生に限定されてはいるが地域ボランティアの力を活用したスポーツクラブの一つのスタイルではないだろうか。ボランティアと学校開放。この小さな2つのウェイブがいつかビッグウェイブとなって総合型スポーツクラブの実現の基礎となることを期待したいものだ。