【スポーツインフォメーション堺 Vol.3】
●特集…地域で目指す総合型スポーツクラブ ―庭代台の出発―
庭代台。世帯数3215世帯。人口9632人。泉北ニュータウンに位置するこの町で、今新しい地域スポーツの取り組みがスタートした。本年度より財団法人日本体育協会(以下「日体協」)より『総合型地域スポーツクラブ育成モデル地区事業』の指定を受けることになったのだ。
従来わが国においてスポーツクラブの一般的な活動スタイルは、「学校内クラブやスポーツ少年団等で、単一スポーツ種目ごとに就学期間あるいは少年期に限定している活動」、また「地域や職場のクラブもやはり単一スポーツ種目ごとに組織され、チーム=クラブの傾向が強く競技中心」というものだった。今回日体協が推進する『事業』とは総合型=「誰もが(多世代)いろいろなスポーツ(多種目)」、地域=「日常的に気軽に参加できる地域に根ざした住民主導型」スポーツクラブの育成というもので、子どもから高齢者まで地域住民の健康増進やコミュニケーションの場として機能する方向を、生涯学習・生涯スポーツの観点から模索する事業といって良いだろう。平成9年度から実施され、昨年は全国で6地区、本年度は新たに9地区が追加され、近畿では庭代台が選ばれた。事業に対する日体協からの委託金は、105万円(年度単位)で3年継続して受けることができる。

庭代台のスポーツクラブの現状は?
「みなさん熱心なんですよ。」インタビューの開口一番、同校区スポーツクラブ育成協議会山村久幸事務局長は語った。少年ソフトボール、少女ポートボール、少年野球、少女バレーボール、少年サッカー、剣道等のスポーツ少年団。卓球、ママさんバレーボール、テニス、グラウンドゴルフ、ゲートボールなどの大人のクラブ。昨年に誕生した毎月一度、4歳~84歳の方まで参加する『ふれあいハイキング』という10キロ前後のハイキングクラブがあります。スポーツだけでなく様々な文化活動も盛んで、生涯学習・生涯スポーツへの関心は高いと言える地域です。

組織化や交流といった面ではどうですか?
昨年、今回の事業の受け皿となった体育指導委員会(体育指導委員、スポーツクラブ代表、福祉協議会、自治連合会)を発足させました。また。学校五日制導入時に、地域の教育力を側面援助するために発足した『庭代台こどもネットワーク』にもスポーツ少年団をはじめ子ども会やPTA、自治会などが参加して交流しています。『ネットワークニュース』の月刊紙面でイベントの紹介やスポーツクラブの部員募集などを自治会回覧するほか、年3回発行の自治連合会広報誌にも地域住民に情報発信しています。

今後の取り組みや課題は?
始まったばかりなので、まず、『総合クラブ』という考えを団体や地域の参加者に理解してもらう、そんな機会を多くつくりたいですね。そして出来ることから、例えば、卓球とバレーボールグループが共同して鴨谷体育館を利用するとか、既存のクラブの協力や『堺市健康スポーツキャラバン隊』を利用し1日スポーツ教室を実施し個々の種目のスポーツ人口を増やすとかですね。また、多世代型のグループである『ふれあいハイキング』を母体に『庭代台ファミリースポーツクラブ』を結成し、ハイキングやスポーツ教室を主催していく。『ファミリースポーツクラブ』を核として既存のスポーツクラブが緩やかな形で協力し合ってイベントを成功させていく。そういうイメージを持っています。今年は「ファミリーミニマラソン大会」など検討中です。
課題としては、活動が盛んになるほどコアとなる場所の問題があります。現在は、小・中学校の体育館・運動場、自治会館、庭代公園・運動場が活動の中心ですが、利用が重なり調整が必要になっています。若手で企画もできる指導員の育成も大切です。そして、既存のクラブはこれまでの経験と実績を持っておられ、それぞれの思いがある。そうしたクラブの主導性を尊重し協力し得る中で『ファミリークラブ』が本当の意味で総合型地域スポーツクラブに発展できるのか。…まだまだ未知の分野です。