【スポーツインフォメーション堺 Vol.4】
●Spotlight
スポーツウーマン発掘
小猿由美さん
・プロフィール
高知西高校時代剣道団体の部(先鋒)四国大会優勝、インターハイ出場。

『大浜キッズ』の主な成績
・西日本大会/男子優勝1回・女子準優勝1回
・近畿大会/女子優勝2回
・全国大会/女子8位

「声出して。」「ボールに集中する。」「そう今の感じでいいよ。」2月の澄み渡った青空に厳しい声が響く。西日本大会を前に指導の声にも自然と力が入る。『大浜キッズ』。一年生から六年生まで総勢32名が活動している小学生ハンドボールチームで、近畿大会や全日本大会にも常連として活躍している、知る人ぞ知る名門チームである。
冒頭の声を掛けていたのが、チーム代表の小猿由美さん。学生時代には、剣道一筋だった小猿さんがハンドボールと初めて出会ったのが、大浜体育館の定期スポーツ教室『サタデーハンドボールスクール』だった。ちょっとシェイプアップのためと軽い気持ちで始めたが、ハンドボールの魅力にとりつかれ、自分でプレーするだけでなく、地元大浜地区の子どもたちを中心にハンドボールの指導を行うことになる。今では大学生の長女を筆頭に3人の子どもたちもハンドボールに親しみ文字通りハンドボール一家となっている。
指導者として小猿さんを見た場合、ユニークなのは学生時代に特にハンドボールに接したこともない人が指導者として成り得ていることである。それは、『サタデーハンドボールスクール』を通じて出会った人たちの協力が大きい。丸井一人氏と二人で7年前に大浜キッズを25名の子どもたちで発足させたときも、東嘉伸先生(現全日本ハンドボール協会副理事長)や当時大浜中学校の織田俊三先生のバックアップと指導があったからだ。現在も子どもたちの指導者としてボランティアコーチが4名いて、英彰小学校の体育館や自治会所有地の簡易グランドで週4回の練習をこなしている。他に数人の大浜中学校出身の大学生のプレイヤーたちも子どもたちの指導に当たっている。
「大浜キッズの第一目標は、ハンドボールを通じて多くの友だちをつくることです。」と小猿さんは語る。「ただし、練習はきちっとします。何年もやってきている子も初めての子も同じように真剣に取り組ませます。一番大切なのは、子どもの個性・人格を認めその上で一対一の人として話をする。その基本があってハンドボールを楽しむことです。もちろん試合に勝つことは大きな喜びですし、みんなでやったという充実感が得られ練習の励みにも成ります。でも勝つことを第一の目的にすると、みんながハンドボールを楽しめません。上手な子中心の指導になるのはだめなんです。」その実践の積み重ねが、今のチームワークの良さなのだろう。
ボールで心と心を繋ぐ競技ハンドボール。これからも小猿さんの思いが、もっと多くの人たちを繋いでいくことを期待したい。