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【スポーツインフォメーション堺 Vol.9】 |
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●21世紀に翔けるプロ集団「堺ブレザーズ」 |
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日本リーグ優勝12回、準優勝5回。黒鷲旗全国選手権大会優勝14回、準優勝7回。Vリーグ優勝2回、準優勝2回。改めて戦歴を振り返れば、その驚異的数字に圧倒される。「堺ブレイザーズすなわち新日鐵バレーボール部の戦績である。特に、1970年代に入ってからは、日本リーグ4連覇、3連覇、国内5冠独占など黄金期を築き、日本のバレーボール界を牽引してきた。現在2月27日に発表された男子ワールドリーグの全日本メンバーに、高橋智則・澤畠雄一郎・甲斐祐之の3選手が選出されている。
その輝かしい伝統のある企業内クラブが、昨年12月「自立」を目指して、株式会社ブレイザーズスポーツクラブとして設立した。チーム名も「堺ブレイザーズ」に変更された。
そのあたりの経緯を小田勝美事業部長は、こう語る。
「いやぁ、チーム名は、最後までもめましたね。もともと新日鐵ブレイザーズのファンは、全国にいらっしゃる。だから、地域名を入れずに単に「ブレイザーズ」とするのか、あるいは、もう少し絞って、「大阪ブレイザーズ」にするのか。でも、最終的には、地域密着型のスポーツクラブを目指しているのだから、やっぱり「堺ブレイザーズ」でいこうと。それに、堺市とは、地元という事でいろんな市のイベントに対し、グラウンド開放をしたり、こちらからもいろいろなスポーツフェスティバルに参加してきたのだし、今後はその関係をもっと密にして、堺に根を張っていこうということだから。」
新会社設立に向けての模索は、1999年12月にさかのぼる。コスト競争にしのぎを削る鉄鋼業界の中で、新日鐵は、釜石のラグビー、広畑の柔道と野球、堺のバレーボールなど7つのクラブを有していて、人件費などその費用は10数億円以上かかっていた。その維持は、もう限界に近づいていた。でも、「日本のスポーツにおける企業スポーツの役割は、大きいですよ。競技スポーツの振興・レベルアップ、学生スポーツの受け皿。もちろん企業のPRや従業員の一体感などの企業側の思いもありますけどね。ブレイザーズについては、日本を代表するトップクラスのチームとして活躍し、オリンピック・全日本チームに多くの選手・監督を送り出してきたんだから、その社会的使命はとても大きいと思います。だから、予算が厳しいからそれですぐ廃部という考えにはならなかったんですね。」
1年かけて、小田さんは日本全国を飛び回った。企業丸抱えのクラブからどうすれば脱皮できるのか、文部省(現文部科学省)が進めてきた総合型地域スポーツクラブのモデル事業(愛知県半田市)を視察に行ったり、Jリーグに話を聞きに行き、「Jリーグ百年構想」に思い同じにしたりして、文字通り八面六臂の1年だったという。
最終、彼の持った結論は、立ち上げは、新日鐵の人・物をそのままスライドしたり、借用するのだから、新日鐵の子会社でスタートさせる。しかし、今まで新日鐵が丸抱えしていた年間2億数千万円かかる維持費の負担を極力抑える事業体にする。その分、サポート会員・サポート企業を広く求め、会員たちでつくっていくクラブチームにするという方向である。ここで彼のいうクラブチームとは、当初は、バレーボールだけでスタートするが、最終的には、複数の競技を抱える総合型の地域密着型スポーツクラブである。
「実は、あまりの反響の大きさにこちらが驚いているぐらいです。12月会員募集を始めて、今で(2月中旬)1200~1300人のフレンズ会員やソシオ会員の申し込みが、インターネットのホームページを中心としてありました。日本に50名、多いときは100名に近い日もあります。法人会員も41社にのぼりました。当初、まあ1月200~300人も集まれば、と思っていたのですが、やはり関心度がかなり高いみたいです。将来は、1万人のサポート会員を目指しているので、まだまだですが、可能性から現実に向かっていますね。」
「やはりもっとアピールするには、まず、チームが強くなること。そのことが一番アピールできると思っています。それとママさんバレーや小学生・中学生など一般の人との接点を多く持つことから始めようと思っています。この4月には、中学生男子を対象とした『ブレイザーズJr教室』を開催しようと、今準備中です。この間もこんな話がありました。今、小学6年生でバレーボールをしている11人が、今春入学する中学は、昨秋で男子バレーボール部がなくなった。顧問教師が指導を続けられなくなったためで、どうしようか困っている。ブレイザーズからコーチが来てもらえないだろうか、ということでした。実は、昨年末より堺市のいろんな部署とお話はしているのです。ブレイザーズとしてできる事は、まだまだあるはず、少しずつ地に足をつけてやっていきますよ。」
「また、バレーの感動をもっと身近に市民の人たちに感じてほしいし、事業体の収入にもなるので、何とか興行収入の入る主催ホームゲームを、例えば金岡公園体育館で開催したいのです。ただ、今のVリーグのシステムだと興行収益は、全てVリーグに還元しなくちゃいけないのです。これでは、地域密着型などとてもできない。Vリーグの改革も必要だと思っています。でないと中学生ぐらいの才能ある子どもが育つ環境をいつまでたっても作れませんから。」
「チームとして、今一番の課題は、選手の意識改革が一番大きいと思います。当面は、バレーボールで飯を食っていくわけですから、まず『勝ってアピールする』、プロの意識と技術を持ち、サポーターを獲得することが、会社の経営基盤ですから。それと場合によっては、『チケットを売る』という営業的な行為も必要でしょう。また、ママさんバレーや小学生・中学生に対する指導方法を身につける。名選手=名コーチとはいきませんからね。選手一人一人が変わる事が、一番大きなテーマだと思っています。」
そう語る小田氏の声は、自信にあふれていた。
「堺ブレイザーズ」~これからまだまだ多くのハードルをクリヤーしていかなくてはならないスタートしたばかりの会社である。でも、日本の多くの企業内スポーツクラブが窮地に立たされている現在、彼らの取り組みは、全国から注目されている。地元、堺としては、ぜひとも『炎の男たちの挑戦』をサポートしたいものである。
小田勝美氏プロフィール
昭和27年5月生まれ 兵庫県氷上郡出身
昭和46年4月 新日本製鐵(株)堺製鐵所入社
昭和49年4月 全日本男子バレーボールチーム選抜
日本屈指のセンタープレーヤーとして活躍
昭和49年10月 世界選手権大会出場(3位)
昭和51年10月 モントリオールオリンピック大会出場(4位)
昭和52年10月 ワールドカップ出場(2位)
昭和53年10月 世界選手権大会出場(11位)
昭和60年5月 現役選手引退
現在 (株)ブレイザーズスポーツクラブ取締役事業部長・堺ブレイザーズ(バレーボール)副部長
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